版画作品「羽衣-不二山」の制作にあたって
昨年、ユネスコ世界遺産に我国の霊峰・富士山が登録されたことは、未だ記憶に新しい出来事です。
私は記念に12号の作品「羽衣-不二山」を描きました。 今年のカレンダーの絵柄にもなり、皆さまから好評を頂いています。
『版画作品があれば・・・』との御要望も頂き、制作するに至りました。
また、同じ絵柄で日本ユネスコ協会のチャリティーカード(グリーティングカードのセット)の制作も始まり、6月には発売になる予定です。
(発売元:㈱宗像デザイン研究所 www.munekata-design.com)
富士山の裾野に広がる名勝・三保の松原には、能の「羽衣」で有名な『羽衣伝説』が伝わっています。
能もユネスコの無形文化遺産として登録されていますから、作品には世界遺産がダブルで描かれています。 どちらも日本を代表するもの、他には無い不二のものです。
富士山の裾野と同じく、天人の舞姿を末広がりに表現し、金雲(きんうん)たなびく御目出度く明るい印象に描いています。
私が初めて能をテーマに作品を描いてから、今年で30年になります。
そして画業をスタートさせてから、なんと半世紀という節目の年を迎える事にもなりました。
私は画檀などのグループ、特定の画廊や画商に属さずに独立独歩で創作活動を進めて参りました。身の振り方の‘自由’と引換に不自由な事柄もたくさんありますが、独自の画題に取り組み研鑽し、幸いにも 作品展開催を続けることもできました。
一重に皆様のご支援を戴けたことと、ありがたく存じています。
今回ご案内する版画作品「羽衣-不二山」は、‘無所属’の私だからこそ成り立つ企画です。
作家からの‘直売のみ’で価格の設定をしてみました。この春からは色々なものの価格が上がりますが、アマノジャクである私は逆方向に挑戦してみます。 と申しましても、注文を頂いてこそ、次の活動へつながる事になりますから、皆さんどうぞ宜しくお願いします !
作品は、前回制作した「吉祥天龍神図」の版画と同じ工房で制作しています。 同じく高品質です。作品のサイズは一回り小さいものになります。玄間やちょっとしたスペースにも気軽に飾って頂けることと存じます。
先月2月には、賀茂(がも)別(わけ)雷(いかづち)大神(上賀茂神社)様へ能絵作品「賀茂-別雷ノ神」を奉納致しました。
氏神さまであり、私にとって所縁深い賀茂の神様、 感慨深いものがありました。 友人の能楽師による、仕舞「高砂」の寿ぎを得て、 立派な御式を執り行って頂きました。
3年前には病を患い入院・手術もしましたが、今ではすっかり回復し、この日を迎へることができました。
東日本大震災がきっかけとなり創作した「吉祥天龍神図」の作品、そしてその作品から新作能を作ることを企画し、生みだした物語「吉祥天」は、能の詞章(シナリオ)までを創作しました。 現在はある能楽師の方に、仕上げを依頼しているところです。
そして未だ完成していない能「吉祥天」ですが、 舞姿を想像して能絵作品の「吉祥天」を描き上げたところです。
また、3月31日からはフジテレビ系列放映の「聖女・聖美物語」という連続テレビドラマがスタートしますが、そのセットの 中に私の能絵作品が登場します。 以前に制作した「翁」「石橋」「松風」のシルクスクリーン版画作品です。
放映は月曜~金曜の午後1時30分から。
セットですから毎回登場するかどうかは分かりません。 ドラマの登場人物の一人が能に傾注しているという設定で、観世流宗家が能の箇所の監修をされます。 お楽しみ頂けましたら幸いです。
これからも精進して作品創作に励みたいと存じています。 皆様の変わらぬご愛顧を頂けますよう、どうぞ宜しくお願いします。 2014年 弥生 吉日 浅山 澄夫